1回家に帰ってからお母さんと一緒に恭介んちに向かうのがいつもの日課だ。
高校生になる前はいろいろ意識してなかなか家に行かなかったけど、高校生になって、同じクラスになって、そーこーしてるうちに男女だってことを忘れていた
でもそれが楽しいし、楽だし、あたしはそれがいいからまあいいかなーって!
だから今では毎日のように遊びに行っている。
一緒に焼肉を食べに行ったりラーメンを食べに行ったりカラオケに行ったり・・・バッティングセンターにもよく行く。
すごい充実してるなって実感できるし、ほんとに楽しいから、お母さんも喜んでついてきてくれる。
恭介のお母さんとあたしのお母さんは同じ病院であたしたちを産んだらしいから仲もいいしね。
ピンポーンとチャイムを鳴らすと恭介のお母さんが出てきて
「海葵ちゃーんいらっしゃい!夏葵ちゃんもいらっしゃい!あがってー!たこ焼きあるからー!今日はたこ焼パーティーよー!!」
「わあああたこやき!たべたいーー!」
2人ともノリが良くてほんとに中がいい。
恭介のお母さんは麻里(まり)っていう名前で
あたしのお母さんは海葵(みき)。
あたしとお母さんは同じ葵って字がはいってるんだ!
だから自分の名前がほんとに大好き!
2人ともすごいお酒のむからそこがねー笑
足早にリビングへと向かうお母さんを追いかけて私も靴を脱ぐ。
おじゃまします!
と持ち前の大きな声で言うとだれかが階段を降りてくる音がした。
「おっす」
恭介と・・・
「よー」
千颯(ちはや)だ
千颯は1個うえの先輩で高校3年生。恭介と一緒のサッカー部でエースだ。
クールだけど優しくて、やっぱり男として見てないけど誰が見ても息を呑むほど顔が整っている。
たまにいじわるなのがすっごいムカつくけどね!!
「お前相変わらずチビ」
寝起きなのかすこし掠れた声で、跳ねたすこしアッシュがかった髪の毛が揺れている。いかにもイケメンさんって感じ。
黙ってればかっこいいのに・・・
「はー?のびてるし!155あるし!ばーーーーーか!」
「ガキか。」
クシャっと笑いクシャっと私のかろうじてしばれる程度のショートカットの頭をなでてくる。
バカにされてる気がするんですけど??
「おい、あんまさわんな。こいつ勘違いしそーだから」
「は?勘違いってなんなの?」
「こっちが は?だっつーの。無駄に鈍いの、どーにかしろ」
「鈍いってなにが!?あたし走り幅跳びあんたに勝ってるんだからね!」
「だからそーゆーことじゃねーの!」
「いちゃついてんなー笑」
「は!?意味わかんないんだけど!」
冷やかしてくる千颯に本気で怒ってみるけど、ずっと笑ってるから怒る気も失せてしまった。
「はー、なんなのよーーー!もーたこ焼きいっぱい食べてやるーー」
「太るぞ?笑」
また笑う千颯。
「一言余計!!!」
こんな意味がわからない会話を毎日繰り返している。
わたしは、その程度に考えていたから
そんな否定すんのかよ・・・
悔しそうに呟いた恭介のことも
その恭介の気持ちも、わたしは知らなかった。