「七瀬は、僕がこんな風に現れても驚かなかったよね」 「そうだね」 「僕はそれが、とても嬉しかったよ」 遠くを見つめながら彼は言った。 私は、「そっか」と短く返した。 ちらりと横を見ると、彼はまだ遠くを見つめている。その横顔を見ているだけで、胸がぎゅっと締め付けられる思いをした。