胸が壊れるほどに愛してる

「先生...まだかな.........」


あっ、あれ.........?



「白石、ごめんね。遅くなって」



「全然大丈夫です」


「校長先生に捕まっちゃってね〜」


「お仕事、お疲れ様です」


「あっ、ありがとう!
そんな事言われたの、久し振りだな......」



先生、何でそんな愛しそう(カナシソウ)な目をするんですか?



「じゃあ、行こっか!」


「はい」




車内は、先生の香りがして、先生に包み込まれているような気がした



「白石、本当は五十嵐と付き合ってないだろ?」


「えっ.........!」


「なんか、他に好きな人いそうだからさ」


「............」


言えない。

先生が好きだって.........


「ご、ごめんな!変な意味で言ったんじゃないんだ!」


「.........嘘です」


「えっ?」


「付き合ってる事、嘘です!」


「白石.........」


「せっ、先生には、誤解されたくない......です............」


「ありがとう。先生に言ってくれて」


「.........はい.........////」




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秘密の課外授業



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「ごめんな。汚くて」


「全然綺麗ですよ」


「ありがとう」


「この事は、内緒だからな?」


「もっ、もちろんです!」








「あっ、そうだ
ちゃんと、家に連絡入れておきなよ?
親御さん、心配するからね!」


「あっ、分かりました!」


「もうすぐで着くよ」


「はい……」



先生、何処に行くんだろう


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愛しさ(カナシサ)の秘密




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「よし、着いた!」


「ここは......?」


「まぁ、降りてみて!」


「......はい」



────そこは、夕日が綺麗な丘で、夕日の赤と、夜空の青が混ざって、様々な色が出ていた




「綺麗.........」


「ここに来ると、辛いことも、悲しいことも、全部忘れられるんだ」


「......先生にも、辛いこと、あるんですか?」


「ちょっとだけね」


先生の顔が、夕日に照らされて、綺麗



「先生」


「ん?」



────────『ぎゅっ』


「.........先生も、無理しないでください」


「し、白石.........?」


「私、先生のこと、知りたいです.........」


「.........」


「私、何でも聞くので、話してください……」

「.........この高校に来る前、先生には、婚約者の人がいたんだ」

向こうのお父さんが、許してくれなくてね
離れ離れにさせられちゃって、彼女は、何をしてるかも知らない」


「そうなんですか.........」


「.........帰るか!」


「嫌です............」


「えっ......?」


「私、親に遅くなるって連絡しちゃいました」


「白石は、結構イジワルだな」


「そ、そんな事ないです......!」


「じゃあ、もう少し話すか!
白石は、夢とかあるのか?」


「......ないです」


「嘘つかなくて良いよ」

「先生に嘘つくなんて、100年早い!
なーんてな!」


「..........先生.........」


「じゃあ、先生としてじゃなくて、渡辺幸汰として聞く
だから、肩の力抜いて、気楽にして?」


「......私、1人なんです」


「たしか、母子家庭だったよな」


「はい。でも、母は私の学費を払うので忙しくて、ほとんど家に居ないんです」


「そうなのか......」


「だから、私は、高校を卒業したら、就職して、母に恩返しがしたいんです!」


「.........白石、それは違う
何故親が子供のために働いているか分かるか?」


「自分の子供は、育てる義務があるから......?」


「まぁ、それもそうだな!
『子供に笑顔で居てほしい』
『子供に楽をさせてあげたい』
『学校に行って欲しい』
親によって違うかもしれない
でも、親は子供の事を自分より大切に思ってるんだ」


「でも.........!」


「白石、1回、お母さんとゆっくり話してごらん?
そして、白石の本当の気持ちをしっかり伝えて、お母さんの気持ちをしっかり聞きな」


「私に、そんな勇気、ありません.........」


「やっぱり、恐いよな。自分の気持ち伝えるのは......
そしたら、初回サービス!
先生が、一緒に居るよ
そしたら、話せるか?」


「............はい」


「よし!えらいえらい」



そう言って、先生は、私の頭を撫でた


その手は温かくて、とても大きかった


先生の心のように──────────
「白石、車に乗って」


「はい......」


『バタン』


「大丈夫か?」


「......はい」


「じゃあ、行こっか」


家─────


「お母さんは、いつも遅いのか?」


「はい.........仕事が忙しくて..........」


「そうか。大変なんだな」


「はい。いつも母には迷惑をかけていて......」


「白石も、辛いよな」


「いえ、私は、全然.........!」


「白石、おいで」


「えっ!?」



先生は、自分の脚と脚の間をポンポンと叩き、私を呼び寄せた




「で、でも.........!」


「良いから、おいで」


「.........し、失礼します.........//////」


「よしよし、偉いな」


先生の手には、安心感と、温もりがあって、とってもやさしかったです.......