胸が壊れるほどに愛してる





私には、幼い頃から好きな人がいる。

どんな人かはしらない

でも、たった一つだけ覚えてる。



ー10年前ー

私は、よくいじめられていた。





「お前、ちゃんと髪の毛洗ってんのか?」





「きったねー!」






「あっち行けよ!」

いつものように、バイ菌扱いされていた。










「やめろよ!お前ら、女の子いじめたらダ メだろ!」




その子は高校生くらいだった。





しかし、5歳の私には、とても大きく見えた。






それと、甘過ぎない、柑橘系の香りがした。







それが、私の初恋だ。






10年間、ずっと想い続けている。












どこの誰かも知らないまま。

時は過ぎ、10年経った






15の春、私は見事志望校に入学しました





もちろん、あの人の高校に














でも、私には、友達がいません






別に、友達が出来ない訳ではありません





友達を作らずに、一人、孤独に生きてきたからだと思います






高校でも、出来ないと思います







そう思って、平凡に過ごしていました






そんなある日、先生が産休のため、臨時で先生が入ったんです








「皆さん、おはようございます。
新任の、渡辺幸汰です!
短い間ですが、よろしくお願いします!」




『よろしくお願いしまーす』



女子生徒「ねえ、結構カッコ良くない?」



「うん、チョーカッコ良い!」



女子生徒「はーい!先生は、いくつですかぁ!」




「25歳です」



「じゃあ、彼女はいますか!」




先生に聞いても、皆さん、しっかり答えてくれません



だから、質問する意味ないと思います···





なんて、心の中で思いながらも、聞き耳を立ててしまってました





「彼女はいないですけど、好きな人はいます!///」




彼は、恥ずかしそうに、正直に言った





その時、何故か胸が苦しくなった







女子生徒「えー!誰々!?」





皆、前のめりになって聞いている





「ナイショ」






その時の笑顔は、今でも鮮明に覚えています











人の笑顔を見て、心があんなにもザワザワしたのは、初めてだったから···




先生が赴任してきてから2日が経ちました




先生は、生徒一人一人の名前と顔を覚えたそうです



そして、私なんかも、覚えてくれました















私は、体調が悪くなり、保健室のベッドで休んでいました




「白石さん、カーテン、開けても良いかな?」




せっ、先生が来ました!!




驚いて声が出ないです……



「開けるね」


先生は、ゆっくりとカーテンを開けて




「体調はどう?」





「まあまあです……」







「そっか、無理しないでね」





先生は、夏の風より爽やかに笑った






そして、優しく頭を撫でた







「白石さんは、いつも皆に譲ってあげてるから、次は、白石さんが休む番だよ」












皆に、私の本心を見せなかったはずなのに、先生にはお見通しなんですね




















そう思うと、自然と涙が出てきた







「よしよし、大丈夫だからね」







そう言って、先生は、小さい子をあやすように、笑った























その時、幼いあの頃を思い出した













『やめろよ!お前ら、女の子いじめたらダメだろ!』
























あの、甘過ぎない、柑橘系の香りでした












ーホームルームー




「じゃあ、今日は、文化祭でやる、クラスの出し物を決めるぞ~」


『はーい』






私でも、みんなの力になれるなら、
何かやりたいです!



「だれか、意見がある人は挙手!」





「はいっ!メイド喫茶!!」




「はぁ?何でよ!男子、絶対何もやらないじゃない!!その上、女子のメイド姿見たいだけじゃん!」



『そうよ!!』




皆、立ち上がって叫ぶように話してる






先生が、困ってる……


私が助けなきゃ





「みっ、皆!落ち着いて!!!」



私は、いつもの100倍くらいの声を出した




皆驚いて、固まる





先生も、こっちを見てる





「……そうだな。白石の言う通り皆落ち着いて、話し合って決めよう」




私が困ってるのを見て、フォローを入れてくれた





「じゃあ、出し物決める前に、先に実行委員を決めよう!
先生、推薦したい人がいるんだけど、良いか?」





『誰?』





「白石さん。君に、お願いしたいんだ。
嫌なら、断ってくれても構わない」






嬉しい




ずっと、こういうの、やりたかったんです




皆と、楽しみたかった……




「白石さん……?」





「私、やります…」




「本当?ありがとう!」




私の大好きな、先生の笑顔が見られただけで、凄く嬉しいです!





「じゃあ、皆も、いいかな?」






『はーい!』





皆、賛成してくれました……





私、認められたんですね……








ー放課後ー


今日は、実行委員会の集まり



担当は、先生!!




私、頑張っちゃいます!!




先生、カッコイイな〜




そう、見とれていると······



























『ここ、座ってもええやろか?』





声のする方を見ると、そこには、とても美形な男の子が居ました······








「えっ、あっ、はい......どうぞ......」




「おおきに〜」



彼は、歯を見せて笑った




とても爽やかで、私とは正反対の男の子です······





でも、少しチャラそう······?




ピアスを着けて金髪で制服を着崩しています!




「自分、名前何て言うの?」




「えっ、えっと·········」



「俺は五十嵐隼人や!よろしくな」




「しっ、白石美咲です!よっ、よろしくお願いしますっ!!」




声掛けられた〜!



変じゃないかな



「自分、面白いな〜!友達になろうや」


「えっ?」


「だって、犬みたいで可愛いんやもん」


「そっ、そんなことないでふっ!!///」


「でふって······」


彼は、そう言ってお腹を抱えて笑った



顔が熱いよ〜//////



幸汰「こら、そこの2人、イチャイチャするな〜」



先生に、見られた······



最悪です······


「バレてしもうたか〜!俺の彼女、可愛いやろ?」


冗談でも駄目です!!


だって、先生が······


「じゃあ、丁度良いから2人で委員長にしようか!」



『さんせーい!!』



少し、苦手かもしれません





今日は、冊子作りのため、五十嵐さんと居残りです




「上手くできひんな〜!」



「あっ、私がやりますよ!」


五十嵐さんの作った冊子は、バラバラで、グチャグチャでした······



『じーっ』



私、何か変なことしましたか?


五十嵐さん、すごい見てるんですが!


「美咲」


「ふぁ!はっ、はい!」


急に名前で呼ばれたからびっくりしました!



「俺と付き合わへん?」


「えっ!?」


思わず、手を止めてしまった


「実は、一目惚れしたんやけど······」


「えっとー······」


困ってしまいます


五十嵐さんの気持ちは嬉しいですが、私の好きな人は先生なので······



「もしかして、好きな人おるん?」



「なっ、何ですか!?///」


「当たりやな」


「すまんのぉ。困らせてしもうて」


「いえ······こちらこそ、すみません······」





「俺、飲み物買ってくるな!」



いつもの笑顔で言った



「あっ、お金·····」


「ええよ!やってくれとるからな!」


「ありがとうございます······」


そう言って、走って行った




「ふぅー」


疲れました······























『ガラッ』




そこに立っていたのは······