嘘だ。
呼び止められることを期待してたくせに


俺は何度でも嘘をつく。





「中村」





七瀬は玄関で見送るだけだったはずで、そんな薄着のまま俺の所まで歩いてきた。


鼻の頭を赤くした七瀬をすっぽりと腕に納めて心もとないながらも冷えた身体を温める。