全部を話しきれたかというと頷けない。 今話したいことだけを話して、腕の中に収まる小さな七瀬を抱き締める。 逃げないように。 逃がさないように。 俺が話し終えたのを感じ取って、七瀬が動き始める。 少しだけ腕を緩めると、七瀬が回転し始めた。 俺の腹に背を付けるように座っていた体制から、二人で向かい合うように。