ソウダン?

頭の中がクエスチョンマークになりながら、
行きつけのインドカレーの店で春香は琉夏を待った。

私に何か相談することってあるのかな。

琉夏が?

私に?

いやいや、幼なじみだからこそ、言えることがあるのかもしれない。

(んー、もう、早くカレー食べたい〜)

「悪い。遅くなった」

席の角から姿を見せたのは、もちろん琉夏。

大人になってますますカッコよさに磨きがかかっている。

(幼なじみという立場だけでもいいのかも…)

好きだってどうしようもないこと、ってあるもんよね。

あーこれ聡子にきかせたい。

私、大人になってるー。

「春香?」

つい、自分の世界に入り込んでいた春香に、心配そうに琉夏が声をかける。

「あ、うん。大丈夫。はいメニュー。私もう決めたから。野菜カレーとナン」

クッと、琉夏がのどで笑った。

(何がおかしいのよっ)

「何かおかしい?」

「いや、別に。ここのカレー美味いよなぁと思ってさ」

「当たり前じゃん、行きつけ暦15年を更新したぐらいですから」

きどって言うと、琉夏が笑った。

(あ、かわいい)

照れ隠しに春香はもう一枚のメニュー表を琉夏につきつけながら言った。

「はやく頼めば。どうせチキンカレーとナンでしょ」

はっとした顔の琉夏と目があう。

「私、何か変なこと言った?」

「いや、それでいい。俺が頼むよ」