藤崎春香、お見合いパーティ行って参りました。

合計3回。
少ない?多い?

よくわからない。

パーティーの終わりに、いいなと思った人の名前を書いたカードを提出し、カップルができる制度がある。
幸運かどうかわからないけれど、毎回ともちょっといいなと思った人と〝カップル〝になった。

そしてデートも各1回ずつ、春香はこなして来た。


「で、どうだったのよ?」

1ヶ月前と同じカフェで、聡子はニヤニヤと春香にきいた。
ニヤニヤしていても、新婚さんは相変わらずまぶしいオーラを発している。

(幸せなんだろうな)

春香はそんなことを思いつつ、本音を吐露した。

「たのしくなーい」

「ふふっ」

たのしくないのだ。
どの人と居ても落ち着かなかった。

気を使って愛想笑いをしてしまう。
それが、「笑顔がかわいいね」という評価につながる。
心苦しかった。
私が私でいられない。

「あーもう、琉夏がいい。結婚しちゃうんだって、琉夏がいいよぅ」

ぺしっ

ナプキンで頭をはたかれる。

「当たり前でしょ。幼なじみなんだから。出会って1日、2日の人と比べたらかわいそうよ」

(でも、だって、琉夏がいいんだもの)

あぁ、そうか。私、琉夏のことこんなに大好きなんだ。

それでも琉夏は、私の知らない誰かと結婚してしまう。

13歳の琉夏、出来ない約束で泣かせてしまって、ごめんね。