(一体、どんな人種よ)


住む世界が違う人なのかもしれない。
カード払いで生活するなんて、セレブかヤバい人くらいのもんだろうから。


(谷口はどっち?)


今日の服装もセレブとは言い難い。
髪の毛もワックスで固めてるし、履いてるデッキシューズもブランド品ではないみたいだし。


(そもそもセレブがカツカレーは食べないよね)


レストランメニューを見て即決してた。
セレブならあれこれ迷いそうな気がする。


(それに夜店の売り物なんて絶対に口にしないよ)


先週、たこ焼きもモツ煮込みも普通に食べてた。
焼き鳥に至っては、おかわりも頼んでたくらいだった。


(……となるとヤバい人ってこと?)


関わらないに越したことがないのかも。
今日だけ大人しく付き合って、家に帰ったら連絡先は削除しよう。



谷口の知り合いのお店は、水天宮から20分ほど山の方へ向かった先にあった。
小高い山の中腹に建ってるレストランで、週末ということもあってか駐車場は結構いっぱい。



「羅門!」


ドアを開けるなり偉そうに名前を呼びつけてる。


「なんだ、大輔か」


白いシェフスタイルで出てきたのは、先週末に水風船を売ってた人。


「なんか食わせて。こいつと二人分頼む」


こいつと言いながらやっぱり私は親指で差されてる。


「あれ?この子、先週モンクつけてきた子?」


私のこと覚えてるんだ。