「日向、何か欲しいものあるか?」
「ん~……考えとく。いま時間無いし」
「はいよ」
うちは、誕生日プレゼントは、私がお母さんから貰って、日向はお父さんからもらうと昔から決めている。
お、そろそろ歯磨きしなきゃ。
テレビの隅に表示された時間を見て、あと5分で家を出る時間になることに気がついた。
お味噌汁を流し込むと、ごちそうさまでしたと立ち上がる。
それに付いてくるように、日向もご飯を素早く掻き込んだ。
そして全ての身支度を整えた私たちは、揃って家を出た。
「「行ってきまーす」」
マンションから学校までは、自転車で10分ほど。
空を見たら、それなりに雲はあったけど、予報では雨は降らないらしい。
ぼんやり降水確率を思い出していたら、日向に話しかけられた。
「日和、今日大丈夫だったか?」
「ん?何が?」
「夢、俺も見たから」
「あぁ……うん、見たけど、大丈夫」
苦笑を投げたら、少しだけ眉を下げられた。
双子だからか、何なのか分からないけれど、たまに私たちはシンクロする。
例えば…夢。
私が見た夢と同じものを見る、または、あの日のことを、2人揃って夢に見る。
他にもシンクロすることはあるけど、一番不思議なのは、夢だろう。
普通に考えて有り得ないことだから。
少しため息を吐いて、ペダルを漕いだ。
駐輪場に到着すると、いつものように日向は私より先に降りて、スポーツバッグを肩にかけると、玄関へと走る。
「じゃ」
「ん、朝練がんばって」
「おー」
手を振り交わすと、曲がり角に消えていった。
日向は、水泳部に入っている。
朝は軽いトレーニングだとかしてるって聞いた。
因みに、この学校のプールは屋上にあり、屋根付きの立派なものだ。
だから、水泳部というと、日に焼けたイメージがあるけど、うちの学校の水泳部員は基本的にみんな白い。