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「ありがとうございました!」
『ありがとうございました!!』
反省会が終わり、部員たちはプールに一例して出て行く。
「日和っ、おつかれ!」
「ふぅ……おつかれ」
少々疲れを滲ませたピカピカ笑顔に、私も笑顔を返した。
「日和ちゃん、おつかれさま」
「おつかれさまです」
色っぽい声に振り返ったら、やっぱり公香先輩だった。
めちゃくちゃ肌綺麗だけど、洗顔とか化粧何使ってるのか聞いておこうかな……
「仕事内容は大体掴めた?」
「はいっ、丁寧に教えてくださって、ありがとうございました」
ちょこっと頭を下げたら、もう一人の先輩マネージャー、曽田 皐月(そだ さつき)先輩は穏やかに微笑んだ。
この先輩からは、常にマイナスイオンが出ている。
丸い輪郭。
優しげに細められた目元。
ニキビ一つ無い真っ白い肌。
小ぶりで可愛らしい鼻。
喋り方も優しく、教え方もとても丁寧だった。
「いいえ、飲み込みがよくて、こちらこそ助かりました」
「いいえ、そんな…」
「仁菜~~有望なマネージャー連れてきてくれてありがとね♡」
公香先輩は、妖艶に微笑んだ。
これらはたぶん無意識なんだと思うんだけど……恐ろしいよね、主に、胸。
何カップあるんだろ……
自分の胸を見下ろして密かに悲しんだ。
「いいえっ、なかなか引き受けてくれる人いなくて、もう最後の最後で頼み込んだんですよ~……はぁ~よかった。
本当ありがとう、日和。
あぁ~でも、誕生日だったのに、やっぱごめんかなぁ……」
「えっ、ちょっと早く言いなさいよ!?
日和ちゃん今日誕生日だったの!?」
「はい…そうですけど……」
「それは大変ね…ごめんなさい。
今日は何も持っていないの」
若干半ギレの公香先輩と、とてもしょんぼりした皐月先輩に挟まれて、こちらが驚いてしまう。
「えっ、いやいや、いいんですよ!!
今日知り合ったばっかだし!」
「今度何か持ってくるね。
あ、お菓子、嫌いなものとかあったら言って」
「あ、ありがとうございます!
嫌いな食べ物はほとんどないです」
もしかしてお菓子作ってくれるのかな!
つい期待で胸が膨らんでしまう。
自然と口角が上がった。
「あら、いいことね。
うん、久しぶりに張り切っちゃおうかしら」
ふふふ、と皐月先輩が微笑む。
……やっぱり和むなぁ。
「よかったね、日和っ。皐月先輩のお菓子めっちゃ美味しよ!!」
「やったー!」
「大したものじゃないのよ。でも、今回は結構張り切って作るから、期待していて?」
あぁもうかわいいよ先輩………
森林浴に来たような心地を味わっていた。
「あ、どうせなら今度ご飯食べに行かない?
歓迎の意味も込めて、ね、どう?
もちろん皐月のケーキとの兼ね合いも考えるから」
「それいいですね!あたしは賛成です!」
公香先輩の提案に、仁菜がすかさず載った。
そしてそこに、
「はいはい!俺も乗る!!」
タカが割りこんで来た。