公園の入り口に停められた白のワンボックスカー。
運転席に座っていたのは、凄く優しそうな男性。
ふわふわの茶色い髪の毛と、ハッキリとした目鼻立ち。
目元はお母さんに似ているけど、口元はお父さんに似ているかもしれない。
想像通りのカッコいいお父さんで、更に緊張が高まる。
槙野くんの両親は美男美女でお似合いすぎる。
「こんばんは、初めまして。君が藤さんかな」
パワーウィンドウをおろした槙野くんのお父さんがそう尋ねる。
「は、初めまして。はい、藤です」
「そっか。へえ、可愛らしい子じゃないか。
理人も隅に置けないなあ~」
「いいからお父さんは黙ってて」
「はいはい」
気恥ずかしいのか、強くお父さんにそう言うと後ろの扉を開けてくれた。
それに私は乗り込むと槙野くんも続いた。
「場所は住所のところでいいのかな?」
「はい」
「了解」
車を発進させると、車内には沈黙が訪れた。
最初にその沈黙を破ったのはお父さんだった。