「っ、う、……っく」

『泣いているの?』


声にならなくて、見えないってわかっているのに何度も首を横に振る。
泣いていないなんて、嘘だって丸わかりだ。



『藤さん、今どこにいるの?家じゃないよね?後ろ車が通る音するし』

「…………」

『ね。どこ?そんなとこで一人で泣かないでよ。僕を頼って』

「……、まき、のくん」

『うん。聞いているよ。藤さん、いいよ。話せないなら場所メールで送って』

「…………」

『一旦電話切るよ?メールして。いい?』

「……わか、った」

『うん、それじゃ』


そう言うと、槙野くんは通話を終わらせる。
私は何度も涙を拭いながら、場所を打ち込んで行く。


さすがに公園の住所まではわからないから、自分の家の住所と公園の名前だけだけど。


【わかった。待ってて。何かあったらすぐに電話して。】