数回瞬きをしてから、あたしは急いで彼の背中を追いかけた。
大恥かいてしまったけれど、どうやら坂井君を誘い出す目的は達成できたらしい。このまま一緒に部室に直行しよう。
でも隣に並んで歩くのも気が引けて、あたしは彼から一歩離れた距離を保ってついていく。
なんの会話を交わすでもなく、前後に並んでずっと押し黙ったまま、あたしたちは足早に廊下を歩き続けた。
体育館の方角は校舎の方に比べれば生徒の姿は少ないけれど、朝練する運動部員たちがいるから、それなりに人の目はある。
でも狭い第二体育館にはそれほど人数もいなくて、渡り廊下はさらに人影がない。
廊下に沿ってずらりと並んだ扉には各部名のプレートが貼り付けてあって、端から順に確認していくと、天文部のプレートが見つかった。
千恵美ちゃんに貸してもらった鍵を差し込んで、ドアノブを回して扉を開けたら、想像以上に狭い部室の中に置かれた天体望遠鏡が目に飛び込んできた。
「どうやらここで正解みたいだな。じゃ、俺もう行くから」
戸棚の図鑑の背表紙や、壁に貼り付けてある天体ポスターの色の煤け具合をキョロキョロ見回していたら、坂井君がそう言って立ち去ろうとし始める。
あたしはとっさに彼の手首を掴んで、部室の中に思い切り引っ張り込んだ。
大恥かいてしまったけれど、どうやら坂井君を誘い出す目的は達成できたらしい。このまま一緒に部室に直行しよう。
でも隣に並んで歩くのも気が引けて、あたしは彼から一歩離れた距離を保ってついていく。
なんの会話を交わすでもなく、前後に並んでずっと押し黙ったまま、あたしたちは足早に廊下を歩き続けた。
体育館の方角は校舎の方に比べれば生徒の姿は少ないけれど、朝練する運動部員たちがいるから、それなりに人の目はある。
でも狭い第二体育館にはそれほど人数もいなくて、渡り廊下はさらに人影がない。
廊下に沿ってずらりと並んだ扉には各部名のプレートが貼り付けてあって、端から順に確認していくと、天文部のプレートが見つかった。
千恵美ちゃんに貸してもらった鍵を差し込んで、ドアノブを回して扉を開けたら、想像以上に狭い部室の中に置かれた天体望遠鏡が目に飛び込んできた。
「どうやらここで正解みたいだな。じゃ、俺もう行くから」
戸棚の図鑑の背表紙や、壁に貼り付けてある天体ポスターの色の煤け具合をキョロキョロ見回していたら、坂井君がそう言って立ち去ろうとし始める。
あたしはとっさに彼の手首を掴んで、部室の中に思い切り引っ張り込んだ。