「いきなり抱き締めてごめんなさいね。私は、隺青蛾。邪仙よ」
宮殿内の一室で、2人は椅子に座り、紅茶を飲んでいた。青蛾は、自己紹介をすると、クローゼットの中を漁り、青と緑色の巫女服を取り出した。
「雨那には、これが一番似合うと思うわ」
セミロングの青のスカートに、縁や袖口は緑で他は白の巫女の正装だ。
「似たようなのが一人いるけど、あれよりは確実に可愛いから安心して」
「は、はぁ…」
雨那には、今のこの状況がわからなかった。というより、聞くだけで精一杯だった。昨日までの記憶喪失、改変された本名、この世界のこと、色々な疑問に苛まれていたからだ。それを察知したのか、青蛾は一つ一つ説明をし始めた。
「少し長くなるだろうけど…一つ一つ説明するわ。まず、この世界のことだけど、あなたが前に存在していた地球とあまり変化はないわ。平行世界と言った方がいいかしら?ちなみに、この世界は『幻想郷』と呼ばれているの。この世界を創ったのは、スキマ妖怪『八雲紫(やくも ゆかり)』。それと、博麗の巫女よ。この二人によって、幻想郷の周りに博麗大結界を展開して、この世界があるわ。」
かなり難しい話だが、雨那は聞き入っていた。今まで経験したことのない世界観、妖怪という本でしか見たことのない存在がいるということ。それに雨那は興味に惹かれていた。
「あなたのこと、なぜ知っているか…だったかしら。これは、単に私の予言が記したものよ。『異世界の少女 この幻想郷に来られたし 名は、蒼劉寺雨那 雨神の御霊を授かりし、新たな神である』」
(神?私が?嘘でしょ?しかも雨の神って何?)
「雨の神は、雨を操る程度の能力ね。あなたの感情によって、雨の降り方、成分が変化できるわ」
「どういうこと…?」
「例として、あなたがもし悲しくなっていると、しとしとと降り続く雨になるわ。そこに、何かへの憎悪があった場合、雨の成分が酸化し、酸性雨になるの。また、怒りに奮えると雨は嵐になるし、明るくなれば、天気雨になるわ」
「そ、そうなんだ…」
訳が分からない。雨那は、それしか頭に無かった。自分がそんな能力を手に入れていたこと。そして、その能力は、使い方を間違えば、自然災害になるとても危険なモノだということ。雨那の脳裏に不安のみが過ぎっていた。
「あの…それで、私がここに来たのには、どんな意味があるんですか?」
「昨日の出来事は、憶えてないのかしら?」
「昨日…?…………!!」
昨日あったこと。さっきまでは、思い出すこともできなかったあの怖い出来事が、いきなり思い出すことができた。あの時の恐怖を、存在するはずのない異形と、その魂が雨那の中に入り込む感触を……。雨那は、すかさず頭を抱え、恐怖に怯えた。それを見た青蛾は、後ろから温かく包み込むように抱き締めた。
「ごめんなさい…。トラウマになるようなものにさせるつもりは無かったのだけど…あなたが必要だったから…」
「………グスッ……私、が………?」
「そう。あなたのその能力、極めればとてもこの世界で有効にできるのよ。人の役に立つのよ」
「…………」
雨那はとても悩んだ。まだ、この幻想郷の全てを知っている訳ではないし、まだ使ったことのないこの能力を本当に信用して使っていいのか、そして、何よりも、私でいいのか。
宮殿内の一室で、2人は椅子に座り、紅茶を飲んでいた。青蛾は、自己紹介をすると、クローゼットの中を漁り、青と緑色の巫女服を取り出した。
「雨那には、これが一番似合うと思うわ」
セミロングの青のスカートに、縁や袖口は緑で他は白の巫女の正装だ。
「似たようなのが一人いるけど、あれよりは確実に可愛いから安心して」
「は、はぁ…」
雨那には、今のこの状況がわからなかった。というより、聞くだけで精一杯だった。昨日までの記憶喪失、改変された本名、この世界のこと、色々な疑問に苛まれていたからだ。それを察知したのか、青蛾は一つ一つ説明をし始めた。
「少し長くなるだろうけど…一つ一つ説明するわ。まず、この世界のことだけど、あなたが前に存在していた地球とあまり変化はないわ。平行世界と言った方がいいかしら?ちなみに、この世界は『幻想郷』と呼ばれているの。この世界を創ったのは、スキマ妖怪『八雲紫(やくも ゆかり)』。それと、博麗の巫女よ。この二人によって、幻想郷の周りに博麗大結界を展開して、この世界があるわ。」
かなり難しい話だが、雨那は聞き入っていた。今まで経験したことのない世界観、妖怪という本でしか見たことのない存在がいるということ。それに雨那は興味に惹かれていた。
「あなたのこと、なぜ知っているか…だったかしら。これは、単に私の予言が記したものよ。『異世界の少女 この幻想郷に来られたし 名は、蒼劉寺雨那 雨神の御霊を授かりし、新たな神である』」
(神?私が?嘘でしょ?しかも雨の神って何?)
「雨の神は、雨を操る程度の能力ね。あなたの感情によって、雨の降り方、成分が変化できるわ」
「どういうこと…?」
「例として、あなたがもし悲しくなっていると、しとしとと降り続く雨になるわ。そこに、何かへの憎悪があった場合、雨の成分が酸化し、酸性雨になるの。また、怒りに奮えると雨は嵐になるし、明るくなれば、天気雨になるわ」
「そ、そうなんだ…」
訳が分からない。雨那は、それしか頭に無かった。自分がそんな能力を手に入れていたこと。そして、その能力は、使い方を間違えば、自然災害になるとても危険なモノだということ。雨那の脳裏に不安のみが過ぎっていた。
「あの…それで、私がここに来たのには、どんな意味があるんですか?」
「昨日の出来事は、憶えてないのかしら?」
「昨日…?…………!!」
昨日あったこと。さっきまでは、思い出すこともできなかったあの怖い出来事が、いきなり思い出すことができた。あの時の恐怖を、存在するはずのない異形と、その魂が雨那の中に入り込む感触を……。雨那は、すかさず頭を抱え、恐怖に怯えた。それを見た青蛾は、後ろから温かく包み込むように抱き締めた。
「ごめんなさい…。トラウマになるようなものにさせるつもりは無かったのだけど…あなたが必要だったから…」
「………グスッ……私、が………?」
「そう。あなたのその能力、極めればとてもこの世界で有効にできるのよ。人の役に立つのよ」
「…………」
雨那はとても悩んだ。まだ、この幻想郷の全てを知っている訳ではないし、まだ使ったことのないこの能力を本当に信用して使っていいのか、そして、何よりも、私でいいのか。