拝啓 お父さん、お母さん

私が、日本…いや、そっちの世界から姿を消して約半年が経ちました。そっちの方では、既に故人扱いされている頃だろうけど。今、私はこの幻想郷という世界で元気に暮らしています。少し前には、異変を起こして騒ぎを立ててしまったけど、村の人とは仲良くなったし、森の妖精や巫女、魔法使いの女の子と毎日のように遊んでます。そういえば、私がいなくなったことで何か変化はありましたか?…いや、私がいなくなって、家は静かになってしまいましたか?悲しいですよね、寂しいですよね?ですが、何故でしょうか?私は不思議とそう思えない。そっちの世界よりこっちの方が、生き甲斐があるのかもしれません。それに……

 私は、もうこちらの人間(神)ですから



「…………」
手紙を折り、机の上に置き、その場を立ち去った。
一度だけでも、両親に別れを告げたかった。しかし、急な出来事故に何も出来なかった。私は、両親に別れを告げられない。もう帰ることはできない。仕方の無い、小さな犠牲だ。