「三葉、お前は誰を見てんだよ」
背を向けたあたしに独り言のような掠れた声が届いて、反射的に振り返ろうとすれば。
グイッーーと、熱に包まれた腕を強引に掴まれて、体勢を崩したあたしは前のめりになってしまう。
「……っ、だ、誰って。誰でもいいでしょ……」
「よくねぇ。お前、オレのことまだ嫌いなのか?」
「っ、玲央の、ことは……」
あれだけ許せずに大嫌いだったのに。
アンタなんか大嫌いーーそれが言えなかったのは、きっと本心じゃないから。
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