「貸せ」 「はっ……これくらい自分で出来るから……」 あたしの目の前に腰を降ろして、そっと靴紐に手をかける。 き、聞いてるの……!? ツンとした玲央は愛想も何もあったもんじゃない。 「三葉はガキの頃から不器用だな?」 トクンッーーと胸が音をたてる。 憎まれ口を聞くならいつもみたいに“お前”……って呼べばいいのに……。 玲央の伏し目がちな表情が触れそうな距離にある。