「ねぇっ、莉子、どうしたの……?」



次の授業は学年合同での体育祭の練習だった。


靴紐を結ぶ莉子の横顔に問いかけると、キッと怒った視線が向けられる。



「嫌いなの。ああいう投げやりな人が……」


「……、投げやりって、轟先輩……?」


「そうだよ。一匹狼だかなんだか知らないけど、三葉も放っておきなよ。あんなっ、諦めたみたいな顔した男……!」



そう吐き捨てると、結び目を強く縛り上げて前を向いた。


莉子の横顔に悔しさの色が広がって見えたのは、どうしてだろう……。



「先に、行くね……」