──side壱──

「壱、心配したんだからなー」

「電話ぐらい出ろよなー」

そう言って、腕をまわしてくる誠也と章吾。


「わりぃ、気付かなかった。」

携帯の着信履歴を見ながら答えると、葵本達に聞こえないような声で話し始めた。


「……で?
葵本と一緒に何してたんだよ?」


「べっ……別に何もねーよ!」


「怪しいなぁ、手繋いでなかったかー?」


「それはっ……!
人混みがすごいから、はぐれないようにだよっ!」


誠也と章吾の言葉に
少し戸惑いながら答えた。


──繋いでたかったからなんて言えねぇよ。


「そういう野暮な事は聞くもんじゃねぇぞ、誠也、章吾。」


「隼人まで、なんだよーっ……」

ったく、調子狂うな──…

そう思いながら頭をポリポリと掻いていた。

そんな俺を見て、からかいながら笑い出す誠也達。