ついたのは、海岸の一角。

夜の海に静かな音が聞こえる、少し屋台からは離れた場所だった。


野上くん達が取り出したのは、袋に入った、たくさんの花火だった。


打ち上げ花火やネズミ花火。

野上くん達から、ほんの少し離れた場所で線香花火をしていると、春菜たちが話しかけてきた。


「苺ー、さっき野上くんと手繋いでなかったぁ~?」


「──…え、ぅ、うん。」

春菜のからかい口調に
思い出してドキドキしながら下を向いて頷いた。


「気付いたら2人居ないしさ、何なに、そういうこと?!」

手を繋いでいたことに興奮しているのか騒いでいる春菜。


「ち、違うよっ!」


「じゃあ、どういうことー」

慌てて否定し、経緯を話すと、そういうことか。と納得してくれた。


「でも手繋いだことに変わりは無いじゃーん!!」

少し含み笑いをしながら言ってくる香歩と実咲。


「いいなぁ──…」

隣で、少し寂しそうな表情を浮かべて呟く春菜。