──side†苺†──
手を差しのべて
あたしを起こしてくれた。
──…入学式の時みたい。
入学式の出来事が頭の中に浮かんで、下を俯きながら手を取ると、そのまま歩き出した。
───…え!?
あたしを起こすために
手を差しのべてくれたと思っていたのに歩き出してからも手は繋いだままだった──…。
いきなりの出来事に
頭の整理がついていかない──…。
ドキッ……ドキッ──…
分かるのは、速まる鼓動だけ。
手から、あたしのドキドキ伝わってないかな──……
「苺っっ!?」
しばらく沈黙が続いて歩いていると、あたしを呼ぶ声が聞こえた。
その瞬間、ドキッとして手を離してしまった。
──…もう少し
繋いでいたかった……かな。