そのまま手を繋ぎながら
ゆっくりゆっくり歩いた。
──…温かい体温が手を通して伝わってくる。
ドキドキしてんのバレてねぇかな──…
「──…え?」
後ろから戸惑うような声が聞こえたけど、離さなかった。
またはぐれてしまうのが心配だったのもあるけど……
寂しそうな表情を見たくないと思ったんだ。
「……ごめんな。
嫌かもしんないけど、ケガしてるし、危ないから。」
付き合ってもないのに
手を繋ぐなんて、どうかしてるって思うよな──……
心臓が飛び出そうなぐらいドキドキしている──…。
葵本の方を向けずに
そのまま何も話さずに、ゆっくりゆっくり歩いていた。
「壱!?」
しばらくして誠也や、章吾の声が聞こえてきて、ドキッとして慌てて手を離した──…。