───プルル…

「葵本!?」

呼び出し音が途切れ、
聞こえてきたのは、少し小さな弱々しい声だった。


「野…上くっ……」


「大丈夫か?
どこに居るか分かる?」


「──…っ台の堤防…」


「堤防?」


聞こえづらかったけど、
確かに屋台って言ったように聞こえた。

聞き返しながら、すぐ近くにあった屋台の後ろの堤防沿いを走りながら探す。


しばらくして、堤防に座り込んでいる葵本の姿を見付けた。


その横顔は、すごく寂しそうで、1秒でも早くとすぐに葵本の側に駆け寄った。