──side壱──
「違う屋台も見てみようぜ!」
誠也と章吾の言葉を聞いて
お祭りでテンションが上がっている古河たちは楽しそうに着いていく。
──あれ? 葵本?
ふと葵本の方に目をやると、そこに居るはずの姿が無かった。
葵本が居ない、と誠也たちに伝えるよりも体が先に動いていた。
「ったく、どこ居んだよっ……」
来た道を戻って、息を切らしながら探しまわった。
そうだ、携帯──。
葵本の登録画面を開き、
通話ボタンを押すまでにドキドキは早まっていく──。
こんなときにまでドキドキしてんじゃねぇよ──……
そう自分に言い聞かせて、やっとの思いで通話ボタンを押した。
────プルルル、プルルル……
呼び出し音が自分の鼓動と混じって聞こえる──。