射的や金魚すくいをして
お祭りを楽しんでいた。
「すぐ破けちゃうなぁ──…」
金魚すくいをしながら、少しふてくされる春菜。
「あたしもだー」
春菜の隣で同じように取れずに落ち込むのは、香歩。
水槽を覗き込むと、赤の金魚、そして黒の金魚が泳いでいる。
「どっちが欲しいの?」
春菜の隣に、座り込んだのは枝崎くんだった。
「あ、赤いのっ……」
いきなり隣に来て
話しかけられた春菜は下を俯きながら答えている。
「まかして。
こういうの得意だから。」
枝崎くんに笑顔で言われて、春菜は照れてるみたい。
いい雰囲気だなぁ──。
「章吾、かっこつけてんじゃねぇよー!」
「そんなんじゃねぇよっ!」
一足先に射的から戻ってきた浅井くんが枝崎くんに、ちょっかいを出している。
そんな2人を見て、
あたしは後ろから笑っていた。