「あ、そうだ。自転車禁止ねッ!」
誠也は、葵本たちに向かって笑顔で言っている。
「え? なんで?」
「祭りって混むしさ、
自転車8台あるより、4台のが良いと思うんだよなー」
確かに4台だと、皆が一斉にはぐれる心配もないし、行動しやすいと思っていた。
─────…あの時までは。
「じゃ、また後でっ!」
待ち合わせ場所も決まって、一旦別れ、再び駅前で会うことになった。
葵本たちの姿を背にして、俺は誠也の自転車の後ろに乗った。
「誠也、バイトは?」
「バッチリ休み取ったぜ!」
「さすが誠也――…
って、あぶねぇっ!前見ろよ―」
俺の方を向いて、ピースをして見せた誠也の頭を軽く小突いた。
「なぁ、壱ー。花火すんの、いつもの場所でいいよな?」
「だなー。じゃまた後でな!」
花火の計画をしていると、あっという間に家に着き、誠也と約束をして家の中へと入った。
いつもの場所――…
それは、小学生の時に誠也と一緒に見付けた場所だった。
港からは少し離れた海岸だけど、幸い誰にも見つからず、花火をするには絶好の場所となっていた―――…。