「ごめんなー」

雑誌コーナーでパラパラとページをめくっていると後ろから声をかけてきてくれた。


「なんか買う?」

「ううん!」


振り返った一瞬、目が合ってドキッとし、思いっきり首を横に振りながら答えた。


「はい、これ。」

店の外で、傘を差してくれたあと、袋の中から紙パックのジュースを出してくれた。


──…イチゴミルクだ。


「ほんと好きなんだなー」

そう言いながら隣で笑う野上くん。


「あ、ありがとう…ございます。」


野上くんが、こんな近くで笑ってる──…

そんなことを思いながら、無意識のうちに野上くんの表情を横から見つめていた。


初めて野上くんの笑顔をきちんと見たような気がする──…


野上くんと目が合って、恥ずかしさをごまかすかのように貰ったジュースを慌てて飲み始めた。