呼び止めると、あたしの方を振り向いた野上くんに、またドキッとした──。
自分でも信じられないぐらい大きな声を出してしまって、恥ずかしくなった。
でも、これは野上くんの傘なのに借りる訳にはいかない──
そう思い、傘を返して雨の中を走って帰ろうとすると腕を掴んで止められた──。
──差している傘の中に入れながら。
「──…じゃあ、一緒に帰ろ? 送るっっ!」
───…え?
思いがけない野上くんの言葉に嬉しさとドキドキが胸の中を駆け巡り、顔が見れずに下を俯き、頷いた──。
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