「──あっ!」
横からチラッと見ていたあたしは、突然声を出した野上くんにビックリした。
いきなり何かを思い出したかのようにカバンを頭の上に乗せて走り出した──。
──どうしたんだろ。
そう思いながら、走っていく野上くんの姿を目で追いかける。
しばらくして、自転車置き場のある方向に曲がり、野上くんの姿は見えなくなった。
その間にも、いっこうに止まない雨──。
──どうしよう。
もういっそ濡れて帰っちゃおうかな──
そう思ったときだった──
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