──side†苺†──
あたしの名前──…。
この声は野上くんだ──…。
思い切って振り向くと、目が合ってドキドキした──…。
またそらしちゃった──…
「帰んないの?」
そう言いながら、野上くんが隣に歩いてきて立ち止まった。
野上くんが、こんな近くに──…!
な、な、なんか話さなきゃ……
いきなり隣に来たことで
ドキドキしながら戸惑っていた。
「──…あ、でも雨だから帰るに帰れないか。」
少しの沈黙が流れた後、野上くんが独り言のように呟いた。
──…横からチラッと野上くんの方を見ると、カバンを開けて何かを探しているようだった。
──…野上くんは傘… 持ってるのかな──…?