「──葵本?」
 
いきなり話しかけられてビックリしたのか、少し肩を震わせて俺の方に振り向いた。


「──えと、帰んないの?」

ドキドキを隠すかのように平静を装いながら聞き、葵本の隣へと歩いていった。


──って雨だから帰れるわけねぇし!


だからここで立ち止まってんだろ──


なに訳わかんねぇこと言ってんだよ、俺──。



名字を呼ぶのでさえ、いっぱいいっぱいで


目を合わすことが相変わらず出来ずにドキドキと、うるさく高鳴っている──。