──side壱──
誠也と章吾に腕を引っ張られながら、葵本に少しずつ近づいていく──。
その間も、俺の胸はドキドキと高鳴っている──。
そんな俺の肩に手を乗せながら葵本の真正面に座らせる誠也。
──ダメだ。
ドキドキして正面、見れねぇ……。
誠也と章吾を筆頭に
簡単に自己紹介を折り混ぜながら他愛のない話は進んでいく──。
時には、「あの先生の授業って楽しくないよなー」とか。
先生の授業の真似をする章吾に、すかさずツッコミを入れる隼人。
俺はというと…
落ち着かなくて背後にあったフェンスへと移動し、袋に入っている食べかけのパンを取り出した。