────side苺──
あたしを起き上がらせてくれた後、先にクラスに入った彼。
最初に視界に入ったのは、あたしよりも少し身長の高い彼の背中。
「壱ーっ!!壱の席、ここっ!!」
黒板に白いチョークで書かれた座席表を見ようとするけど、先に入った友達らしい男の子に名前を呼ばれて席に向かっていた。
──壱くんっていうんだ。
名前を知って、またドキドキした──。
あたしたちが席に着くと同時ぐらいに先生が入ってきて、入学式の説明を始める。
配られた小さな花を胸に付けて出席番号順に並んで、体育館へと向かう。
そんな中、あたしは席の後ろの女の子から声をかけられた。
いきなり話しかけられたあたしは戸惑いつつ返事をした。
黒髪のストレートヘアの同い年なのに少し大人っぽい感じの女の子。