──side†壱†──

泊まるんだ──…

ドキドキしているのを落ち着かそうとベランダに向かった。


上着を羽織り、夜空を見上げていると葵本が隣にやって来た。


風邪を引いてほしくなくて、大丈夫だと言う葵本に上着をかけた──…。


「これっ!」

そう言って、俺の前に差し出されたのは小さな袋だった。


さっきプレゼント貰ったのに別に用意してくれてたんだ──…


ドキドキしながら受け取り、開けてみるとマフィンだった。


ショートケーキと同じぐらいケーキの中では好きなもの。


「えっ!?
俺、マフィン好きだって言ったっけ──…?」


不思議に思って聞くと、
夜空を見上げながら答えてくれた。


「浅井くんに聞いたんだー」


あっ──…

もしかして──…?


俺が居ない廊下で誠也と話していた時のことを思い出した。


一生懸命、作ってくれたんだと思うと嬉しくてたまらなかった──…。


可愛いなぁ────…

俺が笑うと、葵本も頬を赤く染めながら笑ってくれた──…。