──side壱──

笑っている葵本の隣で歩き、皆で向かった先はフリマ。

先輩方が持ってきた男女の古着が、それぞれ何着か並んでいる。


髪の毛をくくるゴムとか

キーホルダーとかストラップなどアクセサリーも並んでいる。


「おー、これいいなー」

「値引きしてくださいよー」

服を持って広げながら、女の先輩方に向かって話しかける誠也と章吾。


「壱ー、これ着てみろよー!
こういうの好きじゃん?」

そう言って合わそうとする黒の長袖のカッターシャツ。


「かっこいいねー!」

「うんっ!似合ってる似合ってる!」

飛び交う営業トーク。


───まぁ、好きな色だし、いいかな。


営業トークを軽く受け流して、誠也と章吾によって値引きされた服を買って袋に入れてもらった。



ふと隣で商品を見ていた葵本と目が合った──。


──ぱっとそらして、淋しそうな表情を浮かべている。


皆で話して、帰る頃には笑顔を浮かべていたけど───…


楽しい中でも、フリマでの淋しそうな表情が気になっていた──。