──side†壱†──
真っ暗な中を少しの距離を保ちながら歩いていた。
「!?」
いきなり飛び出してきた仕掛けに少しびびったけど、平気なふりをしていた。
ドキッ……!
その仕掛けを見て、俺の腕を服ごしに掴む葵本が可愛かった。
服ごしに伝わってくる体温。
お化け屋敷よりも、
そんな可愛い葵本を暗闇で密かに見つめていた──…。
外に出ると、ホッとしたような表情を浮かべてすぐに離した。
──…その瞬間、残念な気持ちが広がった。
もっと触れてたかったな──…
苦手なのに、頑張ってお化け屋敷に入ってくれた葵本が可愛くてたまらなかった。
葵本を待たせて、走った先は食堂の自販機。
イチゴミルクを買って走って葵本のもとへ戻って渡すと嬉しそうに──…
「ありがとっっ♪」と笑顔で言ってくれた──…。