「どうやったら近付けんだろうなぁ──…」

笑い終わってホッとしたのか誠也は、天井を見上げて呟いた。

告白しねぇの? なんて言えなかった。

切なそうな表情をして天井を見上げている誠也は、なんだか俺と同じように感じたから。


──…俺も葵本に近づきたいって思うけど、告白すんのは、なんだか怖くて。


『好きだ』っていう3文字が、どうしても葵本を目の前にすると言えないから──…。


「壱ー? 誰か来てるのー?」


「誠也が来てるよー」

そのとき、1階から母親の声が聞こえてきて、ドアを開けながら返事をした。