部屋の側に来たが、起きているという割には静か過ぎる。

一瞬、血まみれの部屋を想像したが、障子や襖にそういった跡は見られない。

静かに襖を開けた。

「やっと起きたのか。ガキ。」

「・・・煩い山崎。」

なんだ、何も危害は加えなかったのか。

ガキはすこぶる元気に、出された茶をすすっていた。

「明里さん、すいません、無理を言ってしまって。」

ガキに、敵意のある会話を見せる訳にはいかない。


「いえ、構いませんわ。おかげで珍しい方とお話出来たのですもの。」

女は、変わらない笑顔。

目だけが変わらず、ギラギラしている。

ガキが、信じられないといった様子で、目を見開いて俺を見ていた。

そういえば、俺の社交辞令、初めて目にしたのかもしれない。