パタパタパタ。

誰かが俺に近付いて来る。

「誰だ?」

「あっ。す、すいません、お客様。」

さっきの少女だ。

「どうしたんだい?」

「あ、あの、お客様のお連れ様が、お目覚めになったので、あのっ。」

「あぁ、それで呼びに来てくれたんだね。」

「はいっ。」

ニッコリ。

随分信用されているらしい。

・・・後で役に立つかもしれない。

こういう女を育てると、後にいい情報を届けてくれる。

「・・・そうだ。起きたなら、アイツ連れて来てくれないか?」

「お連れ様ですか?」

「あぁ。」

お茶で毒殺されているようなら、俺が直接目撃はマズイ。

「俺は、ここで煙管を吸いたいんだ。頼んだよ。」

「はい。」

パタパタパタパタ。

・・・この、走り回る癖を直さないと、いい遊女にはなれないかもしれない。