「姐さま、あの方が来てから変なんですよね・・・。」

「あの方?」

「あっ。・・・私が言ったの秘密にしてくれます?」

「勿論。」

「・・・姐さまと、本当に夫婦みたいに仲がよい方がいるんですけど。」

(・・・多分あの人だろう。)

「その人、この前、何か言ってて、そしたら姐さまが、突然、持ってた徳利落として、真っ青な顔になって泣き出して。あれ、きっと何かあったんだと思うんです。こんなになるなら、聞けば良かったなぁ。」

「君は何も聞かなかったのかい?」

「用事遣わされてて、少ししか聞こえなかったんです。私が聞いたのは、『沖』とか、『馬』とか、『名誉』とか位で。」

(何か伝えたのか?)

「心配だね。明里さん、店の顔だし。」

「心配です。私、姐さまの中で、明里姐さまが一番好きなんです。」