ニコリと輝かしい笑顔を向ける。

「わかりますわ。だって、あの方から伺う特徴そのものですもの。」

女の瞳の奥がギラギラしている。

「あの方を陥れる為に、私を調べに来たのでしょう?」

ニコリと笑う顔が、敵意剥き出しだ。

「・・・。」

俺は何も答えない。

「・・・けれど、お連れは本当に体調悪くなされてるみたいですし、まずは手当てが先ですわね。」

「あぁ。頼む。」

「ふふ。夜まではたっぷり時間がありますものね。」

敵を前に、変わらぬ笑顔。

俺より密偵に向いてるのではないだろうか。