(美人だな)

こういう店にそぐわない気品もありそうだ。

着ている着物の質から言って、この店でトップクラスの女だろう。

「あ、明里。いや、あのね。」

主人がうろたえてる。

(この女が・・・明里。)

流石、あの人が選んだだけある。

隠しているが、瞳の奥がギラギラしている。

「主人。お困りの方でしょう?さ、お客様、こちらにどうぞ。」

主人の話も聞かず、女がさっさと決め、俺等を案内した。

「ありがとうございます。」

俺は女に軽く会釈した。

「いえ、いいんですよ。」

ニッコリと、男を魅了する笑みで、そのまま先に進む。