「機嫌直ったところで、テツ君。」

「はい。何ですか?」

物につられるあたり、俺って単純かも。

「そろそろ行かないと、土方さんが怒るよ。」

「うわっ、大変だ。」

俺は、慌てて水汲み場へ走ろうとして、ピタッ、と足を止めた。

「?テツ君、どうしたの?」

沖田さんなら、さっきの疑問、わかるかもしれない。

「沖田さん、ちょっと聞きたいんですけど。」

「なに?僕じゃなきゃいけない話?」

「いえ、そういう訳ではないんですが。あの、沖田さんは、明里さんって女の人、知ってます?」

なんとなく、沖田さんの名前が出た時の反応が気になっていたのだ。

「明里?・・・明里・・・。いや、知らないよ。」

少し考えて、ニッコリされた。

「誰だい、その人。」

「今日、山崎と一緒に、倒れた俺を助けてくれた人です。」

「・・・顔が赤いって事は、遊郭の美人なんだ。」

「!!え、と。確かに美人でしたけど、そうじゃなくて、ちょっと気になったんですっ。」

・・・何か、フォローになってない気がする・・・。