ペタペタ。

ゆ~っくりと、廊下を歩く。

今日走ってばかりだったから、少しはゆっくりしたい。

「あ、テツ君。」

後ろから、朗らかな、少し高い声が俺を呼んだ。

くるり。

「あ、沖田さん。・・・逃げられたおかげで、苦労したんですよ。」

「あっはっは。ごめんね~。」

この人、全然反省してないな。

「ま、許してよ☆」

いや、だから、ウインクしたって駄目だし。

「テツ君の代わりに怒られてあげたからさ。」

「沖田さん、もう怒られたんですか。」

「そうだよ~。謝りに行こうと思ってさ~。で、行くなり、背中をゲシッって、下駄で蹴られてさ。」

ほら、見てみて、と見せられた背中には、くっきりと赤い線が二本書かれてた。

うわっ、痛そう。

「土方さんって、容赦ないからね~。オチャメなイタズラなのに。」

「・・・。」

大人はオチャメなイタズラはしないし、まして、会議で人の秘密を公開しないと思う・・・。

「あ、テツ君、反対意見あるんだね。全く、テツ君もマジメだなぁ。」

あっはっはっはっ、と、また大きく笑って、俺の頭をぐちゃぐちゃと撫でる。

「や、止めて下さいよ。」

髪がぐちゃぐちゃだ。

マゲにしてなくても、直すの大変なの、沖田さんだって知ってるのに。