『お、深津さんじゃん。可奈子、マジで好きにしていいわけ?』

『全然いいよー。あ、でも写真撮るのだけは忘れないでね』

『はいはい。じゃ、早速』



ニヤ、とその場の全員が見せた嫌な笑顔に、これからここでなにが起こるのか、想像がついた。



『やっ……』



声をあげようとした口もとは押さえられ、そのまま固い床に押し倒された。



制服はめくられ、スカートはたくし上げられ、露出した肌に笑い声は大きくなる。

もがくように腕や足をバタバタと動かすけれど、いとも容易く押さえつけられ、抵抗するほど痛みが伝った。



いやだ

いやだ

いや、だ

そう、心の中で叫んだ瞬間



『お前ら!なにしてる!!』



それは偶然通りがかったらしい先生で、その声に全員が怯んだ隙に、私は力を振り絞り、その手から逃げるように倉庫を飛び出した。



こわい

こわい

この世界は全て敵

みんなが私を笑う

みんなが私を嫌う



どうして、なんでこうなるの?

どうしてこんな思いをするの?

どうして

どうしてっ……



どうして私は生きているんだろう。





ひたすら走って、走って、息苦しさに朦朧としだした視界に足を止めた。



乱れた髪、噴き出す汗

ぐしゃぐしゃの制服

右足は靴が脱げ、汚れた紺色の靴下

途中何度も転びすりむいた膝は、血まみれになっていた。



そんな格好で顔を上げれば、目の前には踏切の向こうに真っ赤な夕日が広がっていた。



『……もう、疲れた』



生きる意味もわからない

今の私に、生きていく勇気はない

ちからも、ない