なにかを言って反応をすれば、楽しませるだけ。
大丈夫、平気
私は、平気
そう言い聞かせても、不安は込み上げる。
いつまで続くんだろう
終わるのかな
私がいる限り、終わらないかもしれない
いなくなった方が、ラクになるかな
そんな絶望が積もっていく中、決定的な出来事は1学期の終わりに起きた。
『ほら、可奈子に謝んなよクズ。土下座しろ』
『……ごめ……なさ、……』
『えー?聞こえなーい、もっと腹から声出せー』
暑い夏の日の、午後。
いつものように教室のベランダの一番端、死角になった位置でくり返されるのは、暴行と罵倒。
じりじりと熱いコンクリートの地面の上で土下座をし、腹部を蹴られ、私は力なく横たわるしか出来なかった。
『あーぁ。殴るのとか飽きたし、そろそろもっと楽しいことしよーよー』
『あ、じゃああれにする?』
『うん、芳樹たち呼んできて』
『あれ』の意味すら問いかけることは許されず、私が引きずられるように連れて行かれたのはひと気のない体育倉庫。
薄暗いその場に押し込まれ、ホコリっぽい中で目を開ければ、続いて知らない男子たち数名が入ってきた。