その日から、“友達”はいなくなった。



話しかければ無視され、なにかを言えばクスクスと笑われる。

少し目を離せば物は捨てられ、トイレへ入れば出してもらえず、上から水をかけられた。



『いい気味』

『男に助けてもらえよ、バーカ』



心ない行動に、浴びせられる暴言

日に日にすり減る心

けどそれでも、誰にも言うことは出来なくて。



『お母さん、あのさ……』

『なに?お母さん疲れてるの。急ぎの話じゃないなら後にして』

『……ごめん、なさい』



勇気を出して話そうとしたこともある。けれど、家でも私の話に耳を傾けてくれる人はいなかった。

それに、もし言えば心配をかけてしまうかもしれない。

ただでさえ毎日疲れてているふたりを、余計に疲れさせてしまうかもしれない。



自分のことくらい、自分でどうにかしなきゃ。

知られないように、バレないように。



『バーカ』



泣くな



『うざいんだよ』



泣くな



『……消えればいいのに』



泣いちゃ、ダメだ

何度も何度も、自分に言い聞かせて。