『そうは思うんだけど、体が拒否するんだよね。……多分、倒れてもいいやとか、思ってる』
じいちゃんにも、『いつでも飯だけはきちんと食え』と散々言われた。けど、その思い出に胸が詰まって、箸を持てなくなってしまうんだ。
『……じいちゃん亡くしてから、なんのために生きてるのか、生きていくのか、わからなくなった』
目標も、夢も、全てはじいちゃんがくれた世界にあった。
人のためになりたい、その夢の先にあったのも、じいちゃんに恩を返すことだったから。
……だけど、それが叶わない今、俺はなんのために生きたらいいんだろう。
完全に、心は迷子だ。
『なに言ってるんだよ、若者が。理由なんて、これから探していけばいいだろ』
ぼんやりと足元をみつめたままでいる俺に、深津先生はなにかを少し考えて話を切り出した。
『先生の話、してもいいか?』
先生の、話……?
それがどんなものかなど全く予想はつかないものの、『うん』とうなずく。