中学にあがって、いつの間にか問題児と呼ばれていたこと。自分を守るのに必死なだけだったこと。
恐喝の一件のこと。誰も信じてくれず、それを自分も自業自得だと思うこと。
それらすべてを聞いて、じいちゃんは言った。
『じゃあ、今日からお前はここに住むといい!中学も出来れば転校して……高校もいくつかあるしな』
『え?けど……』
『なに、大丈夫だ。じいちゃんは新太のいいとこ全部知ってる、だから新太を信じる!他の誰かが新太を否定するなら、じいちゃんがぶん殴ってやる!』
わかってくれる人がいる。それだけのことが、こんなにも嬉しいとは思わなかった。
嬉しくて、心が温かくなって、初めて涙が込み上げた。
信じてくれる人がいる
自分を見てくれている人がいる
だから、その人をがっかりさせたくない。
胸を張って、誇れる存在になる。そう、心に決めたんだ。
転校した先の中学では、最初は少しぎこちなかったけど次第に友達もできた。
勉強もこれまでの2年分を取り戻すように頑張って、平均的なレベルの高校に行くことが出来た。
本当は、高校に行くことも迷った。学費なんて親が出してくれるわけもないし、自分自身にお金があるわけでもない。
けど、そんな俺の迷いもじいちゃんは見透かして。